飲食業界22年、現役料理長のコロネです。
今回は、テレビで放送され有名になった「きび酢」について
調理師の観点から「お酢の効果や相性のいい食材・調理法・飲み方」もご紹介します。
きび酢とは
きび酢とは…サトウキビを原料とした酢の1種で、鹿児島県の奄美群島で作られています。
醸造酢の一種であり、サトウキビ・水を原料とする。
元はサトウキビの搾汁を煮詰めて黒糖を製造したのち、鍋を洗うために水を浸した際にできる黒糖溶液が奄美土着の菌と結びつき、静置発酵にてできた偶然の産物であり、起源は薩摩藩により奄美で黒糖の生産が奨励された江戸時代に遡る。
約1年かけて発酵させた後、2年ほど熟成させて酸度を調整し完成する。
それ以上の期間熟成させたものもあり、熟成期間が長いほど高品質とされ、味がまろやかになる。ウイキィペディアより引用
きび酢と他の酢の違い
日本でも奄美地方で作られる稀少性の高い酢
カリウム(塩分)が極めて少なく、抗酸化作用が期待されるポリフェノールや、穀物酢やぶどう酢には含まれていないビタミンC、疲労回復作用が期待されるクエン酸が豊富に含まれている。
ウイキィペディアより引用
きび酢
お酢は通常、食塩不使用です。しかしスーパーなどで売られているお酢には、食塩を加えた「調味酢」がたくさんあり、商品ラベルの食塩相当量(ナトリウム量)を確認しましょう。
食塩無添加のお酢は、酸味が味気無さを和らげるので減塩を助ける調味料としておすすめです。
ポリフェノールは、ほとんどの植物に含有されます。
リンゴ・ぶどうなどを原料としたお酢と比べ「ビタミンC・クエン酸がきび酢には多い」印象です。
きび酢と他のお酢の違いは、簡単にいうと含まれる「栄養素の違い」といえます。
奄美群島での独特な製法で稀少性が高くなっています。
きび酢にダイエット効果はあるのか?
稀少性のある食材商品が登場した時、毎回使われるうたい文句に「ダイエット効果」がありますが
どのような食材でも「飲む・食べるだけで痩せる」ことはあり得ません
お酢に痩せる成分は入っていないので「きび酢」でも、その他のお酢でも同じ
運動や食事制限をせず「お酢を飲むだけ」でダイエットしようと思ってる方は注意してください。
きび酢を飲むだけで痩せることは、まずないでしょう。
きび酢の効果について
きび酢は健康に良い?
きび酢に多く含まれる「カルシウム・鉄・マグネシウム・カリウム・リン」について考えてみます。
カルシウム
カルシウムは体重の1~2%含まれており、生体内にもっとも多く存在するミネラルです。その99%はリン酸と結合したリン酸カルシウムとして骨や歯などの組織に存在します。
カルシウム成分が豊富な「きび酢」は、骨粗鬆症予防としてあげられます。
鉄分
鉄分はからだの中に約3グラムあるといわれています。そのうち約65%は血液中のヘモグロビンの構成成分となり、酸素運搬という重要な役割を果たしています。
鉄分は日本人に不足しやすい栄養素の1つです。不足してるからとサプリメントでの過剰摂取の問題もあり、
鉄分が多く含まれる野菜とお酢ベースのドレッシングで摂取するのがオススメです。
マグネシウム
生体内では、多くの酵素を活性化して生命維持に必要なさまざまな代謝に関与しています。
カルシウムと拮抗して筋収縮を制御したり、血管を拡張させて血圧を下げたり、血栓を作りにくくしたりする作用もあります。
生活のなかで「野菜・豆類・穀類」からの摂取量が多いです。
マグネシウムが不足すると生活習慣病のリスクが高まる
マグネシウムを多く含む食品は、藻類・魚介類・精製されていない穀類・野菜や豆類にも多く含まれています。
*藻類…あおさ・あおのり・わかめ・てんぐさ・こんぶなど
きび酢を使った「藻類とタコの和え物」などは、栄養成分的に相性の良い料理といえます。
カリウム
体内の細胞の浸透圧を維持したり、水分を保持したりするのに重要な役割を果たしています。
カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果があります。
カリウムは水溶性で「煮たりゆでたりすると水に溶け出す」ため、生野菜ときび酢ドレッシングでの摂取がオススメです。
リン
リン酸カルシウム・リン酸マグネシウムとして、骨や歯の構成成分となっています。
血清中のリンの濃度が低いと、糖尿病・高血圧・メタボリックシンドロームの発症リスクを高める可能性があります。
メタボリック予防の観点から「きび酢のダイエット効果」が広まったのかもしれませんが、ダイエットに「食事制限・適度な運動」は必須でしょう。
きび酢でにきびが治る?
お酢でニキビが治るという話をよく耳にしますが、あまり効果はないようです。
わたしの姉も高校生の時、お酢を直接顔に塗っていましたが、酸がきつすぎて余計に悪化していました。
ニキビが治る方法は「きび酢」よりも「リンゴ酢」が有名ですが、オススメできません。
年齢や体質・生活環境や食事内容にも影響されるので、よほどの場合は皮膚科に行くほうがいいでしょう。
食材のアレルギーでニキビや肌荒れの原因の場合もあるので、アレルギー検査もオススメです。
食材アレルギーなのに、顔にお酢をすり込むことは悲惨な結果につながります。
注意しましょう。
きび酢で体が柔らかくなる?
「お酢と柔軟性」についての話も有名なのではないでしょうか?
残念ですが、お酢を飲んで人の体の柔軟性が高まることはないようです。では、なぜお酢と柔軟性についての話が有名になったのか?
料理をするとき、お肉をお酢につけておくと
「酵素の働きによりタンパク質が分解され柔らかくなる効果がある」
以上のことから勘違いされてるようです。
お酢に含まれるクエン酸には「血行を良くしたり、疲労回復する」効果があるので、まったく効果がないわけではないと思いますが過信は禁物でしょう。
きび酢の飲み方
「酸っぱくて飲みづらい!」という声をよく耳にしますが、お酢を飲む場合は他の水分で割ることを推奨します。
きび酢20㏄に対して、割る水分は10倍(200㏄)、まだ酸味がキツイ場合はハチミツ・黒糖シロップなどを少量加えると美味しく召し上がれます。
*味の三大要素は「甘味・酸味・旨味」でバランスが良い時、美味しいと感じます
割る水分は
- 牛乳
- ミネラルウォーター
- ソーダ水
- トマトジュース
- リンゴジュースなどお好きなものでいいでしょう
お酢を摂取するのは「食中・食後」がオススメ
食前に摂取すると食欲が増すともいわれますが、強い酸性は空腹の胃によくありません。寝る前に摂取すると歯が溶けてしまう報告もあります。
きび酢は沖縄でしか購入できないの?
奄美群島でしか製造できない天然醸造酢の「きび酢」は、黒糖から作られた天然発酵の天然熟成酢です。
製造量が限られており「幻のお酢」ともいわれています
以前は、現地のみの販売でしたが現在は通販で購入できます。
大手スーパーや特殊な食材を扱う店舗でも購入できますが「卸業者を挟むともちろん割高」になります。
現地で購入するか通販がオススメです。
きび酢は値段が高い?
きび酢は「稀少なお酢」なので正直、値段が高いですが、先ほど「きび酢の成分」について解説したように
栄養素が高いので1日に摂取する量は「少量で充分」です
2日に1回でもいいでしょう
例えば、1本で500ml2500円の場合
- 1日の摂取量を20㏄とすれば25日分
- 2日に1回の摂取パターンなら50日分
25日で摂取するなら1日100円、50日なら1日50円で摂取でき缶コーヒーよりも安いです。
お酢って、種類を問わなければ各家庭に1本はあると思います。
調理の時に大量に使用する調味料でもないので、調理用として兼用で使用してもいいでしょう。
健康維持を意識し過ぎるがあまり「その意識がストレスになっている」かたをみかけます。
きび酢を使用し、自然と健康になれればいいですね。