飲食店ネット通販(ECサイト)の始め方について
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新型コロナウイルスの影響で飲食業界は、大きな打撃を受けています。

しかし、今の状況を「新たな事業を始めるキッカケ」と捉えて、前向きに動いてる飲食店も多く存在します。

デリバリー業態も新たな事業の一つですが、利用手数料の割合が3~40%と高いのがネックではないでしょうか?

ネット通販(EC)なら、ECサイト手数料10%ほどで利用できたり、自店舗のサイトがあり直接注文を受けた場合は「手数料0」です。

上手くネット通販を利用できれば、新型コロナウイルスのような外的要因の影響を受けないだけでなく、今後の飲食店経営が楽になる可能性を秘めています。

都道府県によっては「新事業助成金」もあるので、積極的に動いてみましょう。

それでは、ネット通販(EC)の始め方について解説します。

ネット通販を始める工程は大きく分けると

  1. 商品の市場調査(販売する料理を決める)
  2. 保健所へ相談(許可の申請)
  3. サイトをつくる
  4. 配送方法を決める(梱包方法も)
  5. 販促する(宣伝)

以上のようになります。本記事では、これらを順に解説します。

*ECサイト(ネット通販)を始めれば「必ず売り上げが上がる」わけではありません。現在の店舗経営が上手くいってる場合や、商品化できる商品が弱い場合は利用しない選択も必要です。

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商品の市場調査:販売する料理を決める

飲食店のネット通販は「市場調査で決まる」といってもいいほど重要です。

「美味しいから売れるだろう」の考え方は危険。なぜなら、ネット通販では「初めて購入してもらう」ことが難しいからです。それに、現在の飲食店や冷凍食品のレベルは高いので「美味しくて当然」前提です。

*TwitterやインスタグラムなどSNSでフォロワー数が多い有名店などは、お客様に直接売り込みできるので市場調査をする必要があまりないと思います

SNSのフォロワー数が少ない・有名店じゃない等の小さな飲食店舗が、ネット通販で戦うにはどうすればいいのでしょうか?

「敵の少ないジャンルで勝負する」ことが重要です。

敵の少ないジャンルとは?

大手企業が手を出してないジャンル

例えば「ハンバーグ」のように、大手各社や有名店が参入してるジャンルを選ぶと「負ける確率が高い」です。

このあと、保健所への許可申請・商品ラベル・試作・サイト登録・梱包資材などの説明をしますが、何かと資金が必要になります。無駄なお金を使わないためにも「市場調査」は重要になります。負ける確率が高い商品を作り在庫を抱えると、サイト登録料なども必要で毎月の負担が増える可能性があります。

ネット通販を始めるからといって、試作から始めるのは絶対にやめましょう。

試作するのは、市場調査を終え「商品化決定」した後でいいでしょう。

*原価・売値・手間(人件費)も考える必要がある

1~2人前での販売ではなく、3~4人前に設定し単価をあげるなどの価格設定も重要になります。飲食店での生産は少量になるため、販売数に限界があります。安い単価で多く売れても生産が追い付かなくなり、利益も少ないと店舗の負担になってしまいます。

生産数、販売数、価格、利益、手間なども考え、大手企業が参入しているジャンルは避けるのが賢明です。

市場調査を終え試作する

市場調査が難しいのであれば「店舗のメニューや食材を商品にする」のが効率的です。

店舗の人気メニューは、市場調査を終えてるのと同等の価値があるからです。

*人気メニューで大手が参入してない商品を選ぶ

ネット通販で調理済みの商品を提供するには、配送途中で中身がこぼれたり・雑菌が入らないように「真空パック」などの密閉容器が必要になります。真空パック機に関しては、安いものであれば3万円ほどで購入できるので用意したいところです。

試作を終えると管轄の保健所へ相談しましょう。

保健所へ相談:許可の申請

市場調査で販売する商品(料理)を決めたあと、販売前に保健所で許可を取得する必要があります。

保健所で何を確認するかというと「商品に対し販売するのに必要な許可」です。

各料理の許可について、こちらで解説しています

飲食店がECを始めるとき許可が必要?販売する商品による違いについて

 

試作品ができあがれば、管轄の保健所にいき相談しましょう。

許可を取得するのにもお金が必要になります。商品によっては許可が重複するものもあり、販売の仕方・調理の仕方を見直すこともあるでしょう。

「食肉」関係は複雑なので注意が必要です

*「ネット通販に力をいれて収入の柱にする!」つもりなら、多くの許可を取得しておくといいでしょう。管轄の保健所により、ローカルルールが存在するので、必ず保健所に相談しましょう。

食品表示ラベルは義務

許可だけでなく「アレルゲンの表示・食品表示ラベル」についても教えてもらいましょう。

ネット通販を行うには、食品表示法に乗っ取り、食品表示ラベルを作成し商品に貼付し提供することが義務づけられています。

▽食品表示の適応範囲について 消費者庁

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/review_meeting_002/pdf/111219shiryo2.pdf

 

アレルギーによっては死に至るケースもあるので、食品のネット通販は特に注意が必要です。

*無許可・アレルギー表示のミス・食品表示の不備などの罰則は重い

食品表示ラベルを作成したい場合「食品表示ラベル ネット印刷」などで調べると業者が見つかると思います。

サイトをつくる

試作品が完成し保健所で許可も取得すれば、サイト作りの工程に入ります。

ネット通販サイトを作成できるショッピングカートと呼ばれるサービスは数多くありますが、費用が安く初心者でも使いやすいサイトをご紹介します。

BASE

BASEは初期費用・月額費用0円でネット通販(EC)サイトを作成することができ、現在80万以上のショップがBASEで作成されています。

かかる費用としては、購入が成立した際に「BASEかんたん決済手数料」が必要になります。

各注文ごとに「3.6%+40円」とサービス利用料が各注文ごとに「3%」となります。

また、ショップの売り上げ金を引き出す振込申請を行うときにも、振込手数料と事務手数料がかかりますが、ネット通販を始めてまもないうちは、初期費用・月額費用が無料のほうが安心して利用できます。

売り上げの目途がついたり、ネット通販に慣れてきたときに、もっと条件の良いサイトに変えるのも一つの手段です。

*飲食店の自店舗のホームページは必須です。無いことはないと思いますが、なければ早く用意しましょう

 

配送方法を決める(梱包方法も)

商品が購入されると、お客様に配送しなければなりません。

注文が入ってから配送業者を探していては、スピーディーに対応できませんので、あらかじめ配送業者やプランも決め手おきましょう。

食品なので冷凍・冷蔵に対応してる「クール便」での配送になると思いますが、一番安い配送業者を選びましょう。

*関東から関西の60サイズで比較(2021年1月時点の宅配料金)

  • ヤマト運輸(クール宅急便)1,260円
  • 日本郵便(チルドゆうパック)1,195円
  • 佐川急便(飛脚クール便)1,155円

梱包した商品を送る際には、購入者情報を送り状に記載または印刷し、委託したい配送業者へ集荷を要請する必要があります。配送業者により集荷の規定や時間が違うので、早めに配送業者を自分のなかで決めておきましょう。

梱包するための段ボールや衝撃を少なくする材料なども必要になりますので、あらかじめ用意しておきましょう。

 

販促する:宣伝方法と商品の関係性

あなたの店舗を「認知しているか・していないか」で宣伝方法も違います。まったく認知がないお客様に、いきなりDMなどを送ると怪しい店舗だと勘違いされかねないのでやめましょう。

  • 認知している→DMやメールで宣伝可能
  • 認知していない→SNSで拡散・サイトで集客

「認知しているか・していないか」で、出品する商品もかわってきます。

認知がある場合は、ある程度あなたの店舗を信用しているので「定番の人気メニュー」が喜ばれそうです。

逆に、認知がない場合は「SNSで拡散・サイトで集客」する必要があるので、ありきたりではない珍しい商品が必要になるでしょう。

もっとも理想的なのは「店舗の人気メニューと珍しいメニューの両方を揃えること」だと考えられますが、珍しさにばかり走ってしまい店舗ブランドを見失うことのないように注意しましょう。

例 和食業態が「洋食」展開など

ジャンルの幅を広げ過ぎると、店舗の信用に欠けるので注意が必要です。

 

今回は「飲食店のネット通販の始め方」を解説しました。

新型コロナウイルスの影響で思うような営業ができませんが、この機会を事業拡大のチャンスと捉えて新しい販路を開拓しましょう。