飲食店がECを始めるとき許可が必要?販売する商品による違いについて
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新型コロナウイルスの影響を理由に、ネット通販(EC)を始める飲食店が増えています。

新たな事業として商品開発をすすめるわけですが、飲食店の営業許可以外に別の許可が必要になる場合があります。

そこで今回は、飲食店がネット通販を始めるときに必要な「商品による販売許可」について解説したいと思います。

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「惣菜製造業」について

惣菜製造業の定義として、以下のものを製造する営業をいいます。

  • 通常副食物として供される煮物(つくだ煮を含む)
  • 揚げ物
  • 蒸し物
  • 焼き物(炒めものを含む)
  • 酢の物・和え物

調理した惣菜を同一施設内で店頭販売(小売り)する場合は、飲食店営業の範疇となります。

漬物・塩蔵品(うに・いかの塩辛)半製品の製造は、惣菜製造業の対象外となります。

工場形態で、小分け包装する営業は対象となります。

惣菜として見なされるものであっても、食品の定義上で「食肉製品・魚肉ねり製品・豆腐」などに該当する食品を製造する場合は、それぞれ該当の製造業許可が必要になります。

「菓子製造業」について

菓子製造業の定義として、以下のものを製造する営業をいいます。

  • 洋菓子
  • 和菓子
  • あめ
  • チューインガム
  • パン

焼き芋・綿菓子・炒り豆などの簡易な加工や、水飴・もなかの外殻・ジャム・クリームなどの菓子材料を製造する行為は菓子製造業の許可を必要としません。ただし、簡易な加工でも工場形態で大量製造する場合、添加物を使用する場合は菓子製造業の許可が必要になります。

露店・自動車などで、大判焼きや鯛焼きを製造し販売する行為も菓子製造業の対象となります。

菓子製造業の範疇で、赤飯をつくることは問題ないですが、おこわは飲食店営業の範疇となります。

「食肉製品製造業」について

食肉製品製造業の定義として、以下のものに類し製造する営業をいいます。

  • ハム
  • ソーセージ
  • ベーコン

工場でハム・ベーコンなどを分割、細切りする営業も対象となります。

食品衛生管理者の設置が必要となる。

食品衛生法による食肉製品の分類

食肉を扱う製品でも加工方法や含有率により、食品衛生法により分類されており「惣菜製造業」以外の許可が必要になります。

  1. 食肉
  2. 食肉加工品
  3. 食肉製品
  4. その他食肉を含む加工品

1.食肉

鳥獣の肉および内臓など(枝肉・カット肉・スライス肉・ひき肉)

他の食品と一緒に単に食品の素材として寄せ集めたものは、その量の如何を問わず、当該食肉の部分は食肉として取り扱う。

  • 食品衛生法第52条に規定する許可
  • 政令第35条第11号(食肉処理業)
  • 政令第35条第12号(食肉販売業)

冷凍した場合は「冷凍食肉」

2.食肉加工品

食肉(鳥獣の肉および内臓など)の含有率が50%を超える半製品

トンカツ材料・味付き生肉・つけもの・生ハンバーグなど

*食品衛生法上、食肉として取り扱う

許可は「食肉」と同じ

【ポイント】トンカツや味付き肉は「惣菜製造業」ではなく「食肉処理業・食肉販売業」となること

3.食肉製品

ハム・ソーセージ・ベーコン、その他これらに類するもの

  1. 非加熱食肉製品として販売するもの
  2. 乾燥食肉製品として販売するもの
  3. 特定加熱食肉製品として販売するもの
  4. 加熱食肉製品として販売するもの

*食肉製品をさらに調理、加工し他の食品としたものは食肉製品とはいわない(ハムサラダ・ハムサンド・弁当など)

政令第35条第13号(食肉製品製造業)

食品衛生法第48条に規定する食品衛生管理者の設置

政令第13条(食肉製品)

冷凍した場合「冷凍食肉製品」

4.その他食肉を含む加工品

食肉含有率50%未満の半製品(生シュウマイ・生ギョウザなど)

食肉含有率50%未満の製品(ハンバーグ・ミートボールなど)

食肉含有率にこだわらず、社会通念上「そうざい」として流通するもの(トンカツ・大和煮・甘露煮・焼き鳥・シュウマイ・コロッケ・ギョウザなど)

政令第35条第32号(惣菜製造業、半製品を除く)

【ポイント】食肉含有率50%未満の商品については「惣菜製造業」になること

冷凍した場合は「冷凍食品」となる

 

詳しくはこちらをご覧ください

厚生省・食肉製品の分類

http://www.shokunikukaken.jp/pdf/others/5-1-2bunruihyou.pdf

「食品の冷凍又は冷蔵業」について

食品の冷凍または冷蔵業の定義について、以下のものを製造する営業をいいます。

冷凍食品の製造または、魚介類を冷凍または冷蔵する営業をいいます

冷凍食品とは「製造し、または加工した食品(清涼飲料水・食肉製品・鯨肉製品・魚肉練り製品・ゆでだこ及びゆでがにを除く)および切り身、または「むき身」にした鮮魚介類(生かきを除く)を凍結させたもの」とされている。

冷凍した食肉や、冷凍した鮮魚介類の販売には、それぞれ「食肉販売業や魚介類販売業」の許可が必要となります。

 

飲食店「製造業許可」はどこで得れるの?

色々な製造業の許可を得るには「管轄の保健所」に申請する必要があります。

その際に、施設基準をクリアしなくてはなりません。

施設基準は、業種ごとに定められているほか、地方自治体によっても基準が異なります。

飲食店では、食品衛生に関する責任者として「食品衛生責任者」がいますが、食肉製品製造業など一部の製造業では「食品衛生管理者」の設置が必要になってきます。

飲食店がネット通販事業を開始するときは商品開発するまえに、管轄の保健所に相談することから始めるのがいいでしょう。

 

許可だけでなく「賞味期限・アレルゲン」の表示も必要

調理した食品をネット通販で販売する場合、食品表示法に基づいた食品表示が必要になります。

食品表示法により「保存方法・消費期限または賞味期限・原材料名・添加物・栄養成分」などの表示が定められており、これらの情報をシールなどに印刷して、商品パッケージに貼付しなくてはなりません。

ネット通販での販売には「アレルゲン」の表示についても注意が必要です。

一般的な店舗で飲食の場合は、アレルゲンの表示義務がありません。

しかしながら、ネット通販で販売する場合は「アレルゲン表示が義務」付けられています。

アレルゲンの表示が必要になるのは、原材料に特定原材料である「えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生」の7品目が含まれているときです。

また、特定原材料に準ずるものとして「アーモンド・大豆・くるみ」など指定されていますが、こちらの21品目については表示義務はなく「表示の推奨」とされています。

 

まとめ

今回は、飲食店が通販で販売する場合の「許可」について解説しました。

違いが複雑なのは「食肉製品」でしょうか。

飲食店において、食肉を扱う機会は多いので「惣菜製造業」「食肉処理業・食肉販売業」の許可も取得しておくのもいいかもしれません。

悩んだりわからないことがあれば、管轄の保健所に相談しましょう。